2010年10月17日日曜日

日本の科学技術力は上がっているか?

ついこの間、ノーベル化学賞を日本人2名が受賞した。
化学は自分の専門分野ではないので受賞内容について詳しい事はわからないが、
この受賞が日本ではちょっとしたお祭り騒ぎになっているという点について言及したい。

今回のノーベル賞受賞が日本の科学技術力向上を示したという事で騒いでいるのだと思うが、
果たして本当にそうであろうか?
(ここでは化学よりも広義の意味を示す科学技術力とする)

確かに国際競争も激化し人口が減少している昨今、
元々の強みであった科学大国としての軸を更に強化していくのは正しい方向性であると思う。

しかし今回の受賞では科学技術力の高さが証明されたわけではないと思う。

そもそも、この度の受賞は1979年に発表した研究に対して送られたものである。
30年以上も前のものなので、これを受けて日本の科学技術力が上がっていると判断するのは軽薄すぎる。

また、この論文の礎となった研究がなされていたのは日本ではない。
鈴木氏は長年北海道大学にて研究を行われてきたが、
1963年から3年間アメリカのパデュー大学に在籍しており、
そこでの研究が今回のノーベル賞受賞に結びついていると語っている。

根岸氏に至っては、研究生活の大半をアメリカで過ごし、在米歴は50年を超える。

つまり日本の科学技術力が上がっているのではなく、
単純に海外で最先端の研究をしていたのが日本人だった、というだけなのだ。

根岸氏はテレビの取材でしきりに若者が海外に出る事を勧めていたという。
これは様々な価値観や文化に触れるべきという意味もあるだろうが、
日本の中にいるだけでは最先端の事はできないということも示している。

たしかに近年日本で学び、研究して世界的に認められたものはほぼないのではないだろうか。
そう考えると今回のノーベル賞の受賞を日本人として単純に喜んではいられない。

これは科学の分野に限らず、あらゆる分野で言えることだろう。
単純に日本人が世界で活躍したからといって、日本が世界に認められたわけではない。

ただ単に、海外で学び、育まれた人が日本人だったというだけに過ぎないのだ。

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